言葉が人生を変える -2




書物によって自分の人生が影響を受けているということを自覚した時に、それは悪いことには思えません。それよりも良かったことととらえています。具体的な例を挙げますと山崎方代の作品です。彼は「放浪の歌人」「無用の達人」と呼ばれています。彼の言葉に私の世界観が変わったと思っています。

私の好きな歌の中に「こんなにも湯呑茶碗があたたかくしどろもどろに吾はおるなり」というのがあります。ご存じの人はいるでしょうか。湯呑が温かかったために自分がしどろもどろになっているのです。彼の素朴さがこのような歌を作らせたのでしょうか。日常生活の中で忘れてしまっていたものを、私に思い出させてくれるのです。

それからもうひとつ紹介しましょう。「手のひらに豆腐をのせていそいそといつもの角を曲がりて帰る」という歌です。豆腐を持っている手のひらの様子が目に浮かぶような歌です。こんな小さな喜びこそが幸せなのではないだろうかと私に教えてくれるのです。

「ゆくところ迄ゆく覚悟あり夜おそくけものの皮にしめりをくるる」という歌もあります。この歌は前の二つに比べると少し違っています。男の覚悟というものを真剣に謳っているのです。この言葉は私の心に響いています。他の人がどう感じているのかはわかりません。それでも私にとっては世界観を変えるような言葉なのです。ちょっとした言葉に影響受けやすい私です。それを自覚できている私のことを、自分は好きなのですね。

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